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No.4(06.8.3 掲載 )決着がついたわけではない、大阪の4オケ大合同法 林 喬 二
(関西クラシック音楽情報 編集人) 「大阪の4オケ大合同」は反対の大合唱で、決着がついたように見えるが、じつはそうではない。「反対」は声だけのことで、問題のオーケストラの「燃料切れ」は時間の問題なのだ。この先どうなるのか考えてみたい。 1980年代に、大阪には "大阪府音楽団" という楽団があった。大阪府はその楽団を解散することとし、大阪のいくつかのオケに、団員の移籍を打診したことがある。しかし条件が折り合わなかったのだろう、実現しなかった。そこで大阪府は、この大阪府音楽団を軸として、あたらしいオーケストラを作ることとし、できたのが大阪センチュリー交響楽団である。軸とはいいながら、参加したのは3名、うち1名は後日、他団に移籍したので、実質は2名、結局、50数名の楽員は公募となった。 じつはこの時期、大阪府は、大阪市とともに、50:50で、大阪フィルを助成していた。大阪センチュリーのはなしを聞いたとき、大阪フィルとは、いわば「手を切るのか」といわれたものだが、そのまま続いて、今日にいたっている。オーケストラを維持するためには、たいへんなおかねがかかる。大丈夫かという声はあったが、100億を超える文化振興基金なるものがあり、この利息6-7億があれば、やっていけると判断したのも無理はない。それがゼロ金利時代を迎え、元本を食いつぶすようになるとは、だれも予想していなかった。 その意味では、不運だったのかといえば、そうとばかりとはいえない。国や自治体が、巨大な、不採算施設や保養所を数多くつくり、いまとなって困りはてているのと、よく似たパターンではないか。オーケストラは、はじめから不採算とわかっている。なにかの支えがなければ、成り立たない事業なのだ。補助金には恵まれていない、関西フィルや大阪シンフォニカーが、どれだけ苦労しているか。それでも、演奏会のプログラムには、眼を見張るような企画を出し、地方公演はいとわず、しかも日帰り圏の昼公演という経済性を考慮し、涙ぐましい努力をしている。 それにひきかえといえば言葉は悪いが、大阪センチュリーの、今年の定期演奏会のラインナップをみて、「こりゃ往年の大フィルのプロとそっくり」といったひとがいる。たしかにそうだ。いや、むかしの名前で出ていますが悪いわけではない。そこに、なにか新鮮な説得力があればそれもいい。しかし、クラシックのお客さまといえども、お客さまというものは、移り気なものだ。あたらしい魅力がなければ、お客は遠のく。あれだけの技量をもつ楽員をかかえて、もったいないではないか。なかには「高関 健の時代がなつかしい」というひともいる。55人2管編成の制約のなかで、よくぞあれだけのプログラムをとりあげた、ということを指している。 いつぞや大阪センチュリーは、関西テレビから、複数の人材の派遣を受けた。なかには関西テレビの傘下に入るのかと思ったひともいるが、そうではなかった。その人材だが、派遣はされたけれど、存分に働いてもらっているようには見えない。働きやすい環境にあるとは思えないのだ。どうも、オーケストラの自主的な考えよりも、大阪府の意向が優先しているようにしかみえない。大阪センチュリーにきてしまえば、大阪府からであろうと、関西テレビからであろうと、いま大阪センチュリーとして焦眉の急は、集客を増やす、お客の支持を集める、この二つではないか。そうすれば、大阪府がない袖を振って助成をしても、府民の理解も得られようというものだ。 過日の提言にあった「11億円も支援している」というのは、きわめて誤解を招く表現で、4オケの合計であり、しかも関経連がとりまとめているわけでもない。それぞれの事務局が、文化庁、大阪府、大阪市、あるいは企業にたのみまくって、今日にいたった結果である。オーケストラの成り立ちや、環境から、この結果は、かならずしも公平ではない。ヨーロッパのある国では、定期演奏会の "有料入場者数" で配分するという方式をとっているところもあるというが、これに対しては、聴衆に迎合するプログラムになる、という批判もある。それほど公平というのはむつかしい。 むしろ、ここで重要なことは、大阪センチュリーが将来展望を語ることだ。単に「4オケ大合同」反対を唱えてみても、燃料が切れたらそれまでではないか。「燃料切れ」を起こささないためにも、大阪センチュリーは、旗幟鮮明が求められるのではないだろうか。 おりしも西宮のオケは、「3年契約、更新なし」という条件で楽員を募集し、スタートした。その契約満了の時期が「燃料切れ」の時期と一致する。そんなことはなかろうというが、楽員は自由契約だ。関西のオケ界にも、地殻変動があるかもしれない。 ● ご感想、ご意見があれば、「編集人へのメール」でお知らせください。 ● 「オピニオンのページ」に寄稿を歓迎します。要項は《こちら》 |